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中小会社における株式の相続・事業承継と定款の活用  
  ~ 判例を交えて解りやすく ~


 平成28年3月28日(月)に久留米ホテルエスプリに於いて筑後地区会の研修会を開催しました。講師に早稲田大学商学部学術院教授でMJS税経システム研究所顧問の中村信男氏をお招きし、税理士や他団体の士業及び職員を含め33名の出席がありました。なかでも長崎や熊本からの参加者もあり、研修内容に関心の高さが伺われました。
 講義の概要として以下の6項目について挙げられ説明を受けました。
 ①株主の死亡と株式の相続:共同相続の場合と遺産分割までの株主権行使の方法、②株主の死亡と譲渡制限株式の相続、③譲渡制限株式を相続した株主に対する会社からの売渡請求・自己株式取得および定款規定の工夫と自己株式取得に際しての留意点、④改正会社法が導入するキャッシュアウト制度の活用と相続株式の回収、⑤事前対策としての種類株式制度の活用、⑥円滑な事業承継と遺留分の取扱い「中小企業経営承継円滑化法上による民法特例」の活用、等について判例を交え解りやすい研修内容でした。
 ところで、我々税理士は中小会社のオーナー株主の株価が高くなっていくケースでは相続時精算課税を利用して事業承継者に贈与します。また、相続人が複数存在する場合に、相続株式に関する遺産分割をめぐって意見が対立しないように遺言書の作成を勧めたりします。その事は、税法のみの考え方であり、例えば民法においては、相続人の中に被後見人がいたり、遺言書があっても遺留分減殺請求の場合の特別受益の計算等も考慮しなければならないと言う事です。そこで、民法特例の活用が必要になります。税法と民法(相続編)の両者の関係を良く理解し、相続問題においては民法の考えを熟知した上で取り組まなければと再認識できた研修会でした。


[ 筑後地区会 園田 嘉生 ]

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